車酔いした犬が死亡する危険はある?|吐いたあと様子見か受診かを決められる
ドライブの途中で愛犬が吐き、そのままぐったりしてしまうと「車酔いで命を落とすことはないのか」と不安になるものです。車酔いそのものよりも、吐いたあとの体の変化に目を向けることが大切になります。
この記事では、動物病院の獣医師による解説と、環境省や自治体の情報をもとに、様子を見てよい状態と急いで受診したい状態の境目を整理しました。出発前と移動中にできる予防の工夫もあわせて紹介します。
車酔いで怖いのは吐いたあとの脱水と車内の暑さ
犬の車酔いで本当に注意したいのは、吐いたあとの脱水と、車内の暑さによる熱中症。動物病院の解説では、乗り物酔いは空腹や早食いと並んで、比較的よく見られる軽い嘔吐の原因に挙げられています。
一方で、嘔吐が続くと体の水分が短時間で失われ、子犬や小型犬では急に体調が崩れることがあります。ぐったりしている、水を飲んでも吐くといった様子は、緊急性が高いサインと考えてください。吐いた回数とその後の元気を見て、車酔いで済んでいるのかを見極めましょう。
※参考:北摂ライフサポート動物病院(愛犬が吐いたときの原因と受診の目安)
車酔いのサインは段階を追って強くなる
車酔いの症状は、いきなり嘔吐するのではなく、軽いものから少しずつ進むことが多いとされています。そわそわする、あくびが増えるといった初めの変化に気づけば、吐く前に休憩を入れられるでしょう。
下表は、動物病院が示している段階ごとのサインと、その段階で取りたい対応をまとめたものです。愛犬の様子と見比べながら確認してください。
| 段階 | 見られるサイン | 取りたい対応 |
|---|---|---|
| 軽度 | そわそわして落ち着かない、あくびが増える、くんくん鳴く | 急ブレーキや急発進を避け、窓を少し開けて換気する |
| 中等度 | よだれが増える、口をくちゃくちゃする、呼吸が荒くなる | 安全な場所に停車し、外の空気に触れさせて落ち着かせる |
| 重度 | 嘔吐、下痢、ぐったりする | ぐったりしている場合は動物病院を受診する |
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
車酔いと見分けたい命に関わる状態
車酔いとよく似た様子でも、背景に脱水や熱中症が隠れていることがあります。夏場の車内で待ったあとにぐったりしている場合は、脱水だけでなく熱中症を伴っている可能性があると、動物病院も注意をうながしています。
ここでは、車でのおでかけ中に特に気をつけたい3つの状態を取り上げます。いずれも、早めの判断が欠かせない状態だといえるでしょう。
吐き続けて水分がとれない脱水
嘔吐が続くと体の水分が失われ、短時間で脱水が進むことがあります。特に、水を飲んでも吐いてしまう状態では、失った水分を体に取り込めません。
脱水のサインには、元気がない、歯ぐきが乾いている、よだれが粘つく、尿の量が少ないといった変化があります。ただし軽い脱水は見た目では分かりにくく、皮膚をつまむ確認だけでは判断できないとされています。水を飲んでも吐く、ぐったりしているときは、無理に水を飲ませず早めに相談してください。
車内の暑さで起こる熱中症
冷房の効いていない車内は、わずかな時間でも非常に高温になります。犬は密な毛に覆われ、汗腺が足の裏などにしかないため、体温調節が苦手で暑さに弱い動物です。
千葉県は環境省の資料を紹介し、気温35℃の炎天下に駐車した車内は、窓を閉め切ってエンジンを止めてからわずか15分で、人にとって危険な暑さ指数に達すると呼びかけています。休憩中に短時間でも車から離れるときは、犬も一緒に連れて出ましょう。
※参考:環境省(ペットを車内に残さないで!ペットの熱中症に関する注意喚起)
体力の少ない子犬・シニア犬の嘔吐
同じ嘔吐でも、子犬や高齢犬の場合は緊急性の高い状態に陥っている可能性があり、なるべく早い受診がすすめられています。子犬や小型犬は体内の水分量が少なく、脱水で急に体調が悪くなることがあるためです。
シニア犬も脱水になりやすい傾向があり、腎臓病などの持病がある場合や、自分で水を飲みに行く回数が減っている場合は特に注意が必要とされています。年齢によって受診の目安が変わることを覚えておきましょう。
※参考:北摂ライフサポート動物病院(愛犬が吐いたときの原因と受診の目安)
急いで動物病院へ連絡したいとき
車酔いで吐いたあとに受診するかどうかは、吐いた回数と、その後の元気・食欲の様子をあわせて判断します。1回だけ吐いて元気や食欲がある場合は様子を見る選択肢がある一方、1日に何度も吐く、下痢を伴うといった場合は、当日から翌朝までの受診が目安とされています。
ここからは、さらに緊急性が高いサインと、受診までにできることを順に見ていきましょう。
※参考:北摂ライフサポート動物病院(愛犬が吐いたときの原因と受診の目安)
すぐ連絡したいサイン
以下のような様子が一つでも見られたら、時間を置かずに動物病院へ連絡しましょう。下の箇条書きは、動物病院が緊急性の高い状態として挙げているサインをまとめたものです。
- ぐったりしている、立つことができない
- 吐いたものに血が混じっている(赤色や黒色)
- 水も飲めない、水を飲んでも吐いてしまう
- 呼吸が荒い、体が熱い
- 意識がぼんやりしている、けいれんが見られる
特に、夏場の車内で待っていたあとにぐったりしている場合は、熱中症を伴っている可能性もあります。熱中症は短時間で重くなることがあるため、すぐに相談してください。
※参考:北摂ライフサポート動物病院(愛犬が吐いたときの原因と受診の目安)
停車中にできる応急の対応
車酔いの症状が出たら、まず安全な場所に車を停め、外の空気に触れさせて落ち着かせます。飼い主が慌てると不安が犬にも伝わるため、落ち着いて声をかけることも大切です。休憩してもぐったりしたままなら、受診を考えましょう。
パンティング(ハアハアと激しい呼吸)や、目・口の中の粘膜の充血など熱中症が疑われる様子があれば、常温の水道水で体を冷やし、かかりつけの動物病院を受診してください。
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
病院に伝えるとよいこと
動物病院に連絡するときは、症状が出るまでの経緯を具体的に伝えると、診察の手がかりになります。吐いた回数や吐いた物の状態、水を飲んだ量、暑い車内にいたかどうかは、受診前にメモしておきたい項目です。
あわせて、食事の量、下痢の有無、尿の回数や量の変化も伝えましょう。持病の有無や服用中の薬も、問診で確認される内容です。
車酔いを防ぐ出発前と移動中の工夫
車酔いは、揺れによる三半規管への刺激、慣れない環境への緊張、芳香剤やガソリンなどの強い匂いが重なって起こるとされています。原因が一つではないため、出発前の準備と移動中の過ごし方を組み合わせた対策が欠かせません。
旅行など長距離の予定があるなら、出発の1〜2週間前から準備を始めるのが理想的とされています。
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
食事は出発の2〜3時間前までに済ませる
動物病院の解説では、当日の対策として、食事を出発の2〜3時間前までに済ませることがすすめられています。あわせて、車内の芳香剤を外し、出発前に軽く散歩してリラックスさせることも挙げられています。
前日のうちに食事の時間を調整し、必要なグッズをそろえておけば、当日の朝に慌てずに済むでしょう。当日は余裕を持って出発し、換気や休憩の計画も立てておきましょう。
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
ドライブボックスで体を安定させる
車内では、ドライブボックスやハードキャリー、ハーネスにつなぐ犬用シートベルトなどの安全装備を使います。首輪への固定は、急停止のときに強い負荷がかかり、大きなけがにつながるため避けてください。
ひざの上での抱っこ乗車は、揺れが直接伝わって酔いやすくなり、逆効果になることがあります。キャリーやドライブボックスを安心できる場所として習慣づけると、不安の強い犬にも効果的とされています。
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
窓を少し開け、こまめに休憩する
移動中は急ブレーキや急発進を避け、窓を少し開けて換気します。窓から顔を出させるのは、目のけがや異物、落下事故のおそれがあるため避けてください。長い距離を走るときは、こまめに休憩を入れましょう。
南房総へ向かう場合、富津館山道路には道の駅と一体になったパーキングエリアがあり、有料道路と一般道路のどちらからも休憩スペースを利用できます。休憩のたびに犬の様子を確かめ、落ち着いてから出発しましょう。
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
短い乗車から少しずつ慣らす
車に乗るたびに嫌な経験が続くと、犬は「車は怖い場所」と覚えてしまいます。動物病院に行く日だけ酔う犬も珍しくなく、車を嫌な場所へ行く手段だと記憶していることが理由とされています。
慣らすときは、エンジンを止めた車内でおやつや遊びを楽しむところから始めるのが第一歩。次にエンジンをかけた短い乗車、5〜10分のドライブへと段階的に距離を延ばしていきます。うまくできたら必ずほめて、車が楽しい出来事につながると覚えてもらいましょう。
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
動物用の酔い止めは獣医師に相談する
慣らしても毎回酔う場合は、動物用の酔い止めを使う方法があります。乗り物酔いによる嘔吐の予防を効能にもつ犬用の薬は、獣医師の処方や指示によって使う医薬品として登録されています。
公的なデータベースの注意事項では、16週齢未満の犬には使わないこと、乗り物で移動する1時間前までに飲ませること、満腹の状態で乗せないことが示されています。人間用の市販薬を与えるのは危険なため、自己判断せず動物病院で相談してください。
※参考:動物用医薬品等データベース(乗り物酔いの効能をもつ犬用医薬品の登録情報)
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
まとめ
犬の車酔いで本当に気をつけたいのは、吐き続けたあとの脱水と、車内の暑さによる熱中症です。ぐったりしている、水を飲んでも吐く、呼吸が荒いといったサインがあれば、すぐに動物病院へ連絡しましょう。
予防には、出発前の食事の時間調整、ドライブボックスでの固定、換気とこまめな休憩、短い乗車からの慣らしが役立ちます。暑い日は、わずかな時間でも犬だけを車内に残さないでください。
※参考:池田動物病院(犬の乗り物酔いの原因と対策・酔い止め)
※参考:環境省(ペットを車内に残さないで!ペットの熱中症に関する注意喚起)
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